シガマッコウクジラの化石を3Dデータ化へ 化石館が作業公開に合わせ13~15日に催し
2025/09/11
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松本市四賀地区で発掘され、県天然記念物に指定されるシガマッコウクジラの全身骨格化石が3Dデータ化されることになった。近年、古生物学分野においても3次元データの活用が進む中、シガマッコウの骨格をデジタル化することで研究や学習に役立ててもらおうと、所蔵する市四賀化石館が実施する。作業の一般公開に合わせて13~15日に館内で3D関連の催しを開く。
現在シガマッコウの全身骨格化石は、頭蓋骨や肋骨など部位別に収蔵庫に保管され、全長5.5メートルの実物大レプリカが展示室に配置されている。化石を平場に置いて展示していた時代に比べると見学しやすくなったが、時や場所を選ばず、360度自在に動かせる3Dデータを作成すれば、より活用の幅が広がるという。
今年初め、同館の塙東子学芸員が日本古生物学会にオンライン参加し、他県の研究者との間で3D化が持ち上がった。具体的には手持ちの小型スキャナーやフォトグラメトリーと呼ばれる技術を使って、シガマッコウの実際の化石をさまざまな角度から撮影・解析し、3Dデータを作る。名古屋大学や京都大学の大学院生の協力を得ながら作業する様子を14日に公開する予定だ。
この機会に化石や標本に興味を持ってもらおうと、13~15日には信州大学から借り受けた3Dプリンターで10分の1サイズのシガマッコウ骨格レプリカを作る動態展示を、15日は化石や昆虫標本を3Dスキャンする体験会を行う(いずれも参加無料、申し込み不要)。
塙学芸員は「実物を見ることが一番大切であることに変わりはない」とした上で「データ化すれば国内外からアクセスが可能になり、情報のバックアップにもなる。現物とデータをうまく活用していければ」と期待している。




