企業の人権啓発、方法を模索 松本市の推進協が組織見直しへアンケート
2025/09/11
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企業の人権啓発などに取り組んでいる松本市の「企業人権啓発推進連絡協議会」が、組織体制を見直している。会員企業数が減少する中、事業のあり方や新規会員を増やすための方法を、現在の会員企業を対象にアンケートを実施して模索する。企業内の各種ハラスメントや顧客からのクレーム対応など、人権意識の変化に合わせた組織体制の見直しと、市民への協議会の周知を図り、新規入会も呼びかけていく。

同協議会は昭和53(1978)年、企業における同和問題への対処や差別の撤廃などを目的に発足した。市内の企業が会員となり、多いときは400社以上入っていたが、近年は新規入会がなく244社まで減った。
協議会は年に4回、会員企業の従業員が参加できる人権啓発講座を開催したり、研修会を開いたりして企業の人権意識の向上に努めてきた。近年は外国人従業員や障害者への対応、カスタマーハラスメント対策など、時勢に合ったテーマで講座を行っており、本年度も8~11月に4回計画している。他に人権啓発のDVDなどの貸し出しも行っている。
ただ、講座の出席者も減少傾向にあり、8月中に開いた「外国人従業員とその家族が抱える課題」の講座は受講者が数人にとどまった。事務局の市人権共生課の松本志保課長は「新規入会企業がここ5年ほどなく、協議会が知られていないのが実情」と課題を口にする。
企業対象のアンケートでは従業員数によって決まる1社1000~2000円の会費のあり方や、協議会主催の講座内容、人権啓発事業を行う時の助成制度の必要性などを設問した。9月をめどに締め切り、回答をまとめた上で、年度内に方向性を決めるという。松本課長は「アンケート結果を見て協議会を今の時流に合う形にして、市民の関心のある事業も行っていきたい」と話している。



