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2025年

自宅での看取りに理解深める 「語りの場」広がる輪

2025/09/05
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 県看護協会(松本市)は各地の訪問看護ステーションなどで、住み慣れた場所でのみとりについて立場を超えて理解を深める「在宅看取り語りの場」を開いている。南松本訪問看護ステーションは本年度、年2、3回だった開催日を8回と大幅に増やし、看護や介護の関係者、一般市民らが体験談や質問などをざっくばらんに出し合っている。
 松本市総合社会福祉センター(同市双葉)で4日に開かれた本年度3回目の「語りの場」には11人が参加した。同ステーションの丸山美由生所長が、母をみとった息子の事例を紹介した。「自宅にいたい」との母の気持ちを尊重して訪問看護師や往診医師らがサポートした。最期を迎えた時に、息子が「ありがとう、おかあさん」と自然な口調で母に語りかけ、「母らしい最期を過ごせたと思う」と感謝されたという。
 参加者からは「みとりに携わる人たちの、信頼関係の積み重ねが大切」(ケアマネジャー)、「(患者の思いを)代弁者として家族や主治医に伝えることが大事だと思った」(病院看護師)などの声が寄せられた。市河西部西地域包括支援センターの駒林泉孝さんは本年度2回目の参加で、「地域の人にリビングウィル(事前指示書)を説明する際、ここでの話を踏まえながら紹介すると理解が深まる」と話していた。
 同ステーションには本年度、信州大学医学部付属病院から看護師が3週間単位で派遣されている。その看護師が語りの場に参加できることと、在宅みとりについて一般に理解を深めてもらおうと開催回数を増やした。丸山所長は「身近な人や自分自身が、どうやって生き切るのかを考えるきっかけになればいい」と話している。
 次回の開催日は10月2日。参加無料で要予約。問い合わせは同ステーション(電話0263・29・2807)へ。

体験などを語り合う参加者