県内の戦争遺跡を巡る 松本での全国シンポ最終日
2025/08/26
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松本市で開かれた「戦争遺跡保存全国シンポジウム信州まつもと大会」(戦争遺跡保存全国ネットワーク、実行委員会主催)は最終日の25日、県内の戦争遺跡を訪ねるフィールドワークを行った。市内北部を巡る半日コースと、戦時中に陸軍登戸研究所(川崎市)が疎開した南信地方を訪ねる1日コースがあり、遺跡の歴史や保存活用状況に理解を深めた。
半日コースには全国から20人が参加。平川豊志大会事務局長(72)を案内役に、▽陸軍歩兵第五十連隊兵営跡の信州大学松本キャンパス(旭3)▽県護国神社(美須々)▽旧陸軍墓地(岡田松岡)▽戦時中の物や記録を展示する旧山辺学校校舎(里山辺)―を訪ねた。
旧陸軍墓地では、改修が進む納骨堂や市内蟻ケ崎から移された大小の石灯籠、合葬碑などのほか、石に刻まれた「満州事變」「愛国婦人會」などの文言を確認。戦没者約6000人の遺骨や位牌が安置されると伝わる一方、公な調査は行われておらず、記憶の風化が懸念される現状も伝えられた。旧山辺学校では、崩落などで一般公開を見送っている里山辺・地下軍事工場跡の記録や遺物を見学した。
参加者の多くは全国各地で戦争遺跡の継承に携わっており、視察内容は今後の活動に生かされる。京都市の元高校教諭・奥村英継さん(73)は「戦争遺跡を通して平和を考えることが大切。保存や継承に知恵を絞りたい」と話していた。
