松本市の国宝旧開智学校校舎の意匠に注目 立川流の保存会が見学会
2025/06/23
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江戸時代から続く社寺建築や彫刻の流派・立川流の宗家と棟梁家の子孫でつくる「立川流棟梁家保存会」は22日、松本市の国宝旧開智学校校舎を見学した。明治初期、西洋建築を模範として、日本の伝統技術を駆使して建設された擬洋風建築を詳細に見て、当時の技術者の創意工夫に思いを巡らせた。
長野県、愛知県、東京都などの会員約20人が参加した。旧開智学校を装飾する彫刻類の研究も続けてきた立川流棟梁、六代目立川芳郎尚冨(本名・間瀬恒祥)さん(74)=愛知県半田市=は、正面玄関中央の飾り柱のデザインは、伝統的な寺院建築の装飾「結綿」だと指摘した。上下逆にして西洋風の飾りに見せており「当時の大工が自分が知る技術で工夫したのではないか。遊び心だったかもしれない」と話した。屋内の扉や天井の飾りには、立川流の特徴が見て取れる彫刻があり、参加者は明治初期の学校建築に使われた歴史的な背景や由来にも関心を向けていた。
保存会は年1回、開催場所を変えながら総会と見学会を開き、立川流の研究と技術継承に努めている。立川流宗家で、保存会長を務める立川正夫さん(76)=安曇野市穂高=は「こうして今年も集まれてうれしい。皆さんのおかげで、伝統が受け継がれている」と感謝していた。
