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2025年

2026.2.10 みすず野

2026/02/10
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 忘れてはいけないと思うことはメモを取る。取材で面と向かって話を聞くというのでなく、同僚同士の会話やテレビから聞こえてくるひと言、選挙カーが訴える言葉などだ◆書き留めた言葉が何かの役に立つということは少ない。文字で残そうとペンを握り、紙に記しても、多くは忘れる。メモしたことも忘れる。それでも、手を使うという、わずかな行為が伴うと、記憶に残る確率は高くなるようだ◆詩人のW・H・オーデンの「言葉」と題した短い詩。「下劣な言葉は下劣な者たちによってのみ発せられ/そのようなものとしてただちに理解されうる/しかし高尚なおきまり文句は―ああ、そこが面倒だ/念には念を入れた吟味をしたうえで/純然たる善である声と/下劣なのに功を奏しただけの声を区別する必要があるから。」(『詩 たのしいライトヴァース世界編』河出書房新社)◆「吟味」を辞書で引くと「内容・品質などが〈正しい/十分によい〉かどうか、確かめること」(『三省堂国語辞典』)とある。選挙期間中には到底全ては覚えきれない多くの言葉が行き交った。その「声」を確かめることは、選挙終了後でもできる。

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