2026.2.2 みすず野
2026/02/02
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二年参りや初詣、節分の豆まきに集まった人たちに、甘酒をふるまう寺社がある。参道で甘酒を売る店を見かけることも。寒い境内で甘酒の入った紙コップで手を温めながら、たき火にあたる参拝者がいる◆冬は甘いものを口にしたくなる。なんとなく甘酒を調べていたら、夏の季語だとあった。ふうふう吹いて冷ましながら飲む冬の飲み物だと思い込んでいた。『歳時記』(角川書店)には「柔らかく炊いた飯または粥に米麹を加え、発酵させて造る飲料」で「かつては暑気払いに、温めて飲んだ」とある◆発酵学者の小泉武夫さんは『江戸の健康食』(中公文庫)で「甘酒は江戸時代の『必須アミノ酸強化飲料』であり、と同時に『総合ビタミンドリンク剤』でもあったのだ」と説く。「暑さの厳しいとき、消耗した体にこの甘酒の一杯が、いかに有益だったことか」と続く◆江戸時代には真鍮の釜を据えた箱を担いだ甘酒売りが売り歩いたと『歳時記』にある。1杯4文。庶民の手にも届いた。もう何年も味わっていない。学校から帰ってくると、母が湯気の立つ甘酒を用意してくれていた。厳冬だったころのほのかに温かい思い出だ。



