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2025年

2026.1.30 みすず野

2026/01/30
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 筆記用具のほかに、使用頻度が高い文具は、貼ったり剥がせたりできる付箋だ。これが登場する前は手元にある紙を細く切って、本にはさんでいた。初めて手に取った時は使い勝手の良さに驚いた◆文芸雑誌で同人誌評を長く担当した独文学者の小松伸六さんは、人から本を借りることも図書館から借り出すこともほとんどしなかった。「本を借りることの出来ない理由に、私は、本にやたらに印をつけるくせがあること、また、すぐ、ロバの耳(ページを折ること)をやってしまう」からだとその理由を語る(『作家のエッセイ1・本の置き場所』日本近代文学館編、小学館)◆それでもドイツ語研究室の本は借りなければ間に合わず、その時は仕方なく紙をはさむ。能率は低下する。辞書で単語を引くもののそれを書き込むわけにはいかない。「翌日、教室へゆくとその意味をすっかり忘れている」と◆この本は古本で手に入れた。買う前にパラパラと見たが、赤鉛筆で傍線を引いたページがかなりあった。先に引いた「本を借りることの出来ない理由に―」の文章にも2行分、線が引かれている。あたかもここを引用しなさいというように。

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