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2025年

人力掘削で軌道安全確保 松本市・宮田前踏切の立体交差化 スコップ使い夜間に作業

2026/03/18
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 松本市のJR南松本駅の南側にある宮田前踏切をアンダーパスにする県道の立体交差化事業がスタートした。工期を10年間と見込み、線路下をくりぬく工事は列車の運行に支障がないよう慎重に進める必要があり、人力の作業になる。いったいどんな工事が行われるのか、線路下とその脇(延長88.7メートル)を施工する、JR東日本と鉄建建設・植木組共同企業体の担当者に話を聞いた。
 現地は地下水位が高く、工事ではまず、線路下に地下水が入り込まないように薬液を注入する。構造物が入る深さは約8メートルだが、さらに約8メートル下まで注入する。線路の両側(旧踏切の外側)を掘削して立て坑を設け、作業構台を置く。ここまでに数年がかかる見通しだ。
 続いて、線路下を横切るように、四角形の鋼管(長さ35・7メートル)を水平に9本通すメインの工事が始まる。アンダーパスの天井に当たる部分で、鋼管の大きさは2タイプ(縦1メートル・横2メートルと、縦横85センチ)がある。地質状況や線路への影響を考慮して、鋼管の中に作業員が入り、スコップで少しずつ土砂を掘り出しながら、鋼管を徐々に通す地道な作業となる。
 直上の線路の軌道を変化させてはならず、「工事の肝」となる作業だ。しかも、工事時間は列車が運行していない午前0~4時に限られる。作業終了後、レールを計測して列車を安全に通せるか確認する必要があり、実際の作業時間はさらに短時間となる。鋼管内の土砂を取り除いて空洞となった部分には、コンクリートを詰めて補強する。
 天井部分を固めた後に、アンダーパスの側面、下面に当たる箇所にも鋼管を通す。ここも人力掘削となる。鋼管内にコンクリートを詰め、「口」の形ができた後に、箱の内部(アンダーパスの内部)の土砂を取り除く。
 共同企業体の担当者は「市民生活に密着する列車(旅客や貨物)の運行を確保しながらの工事となるが、市南部地域の発展に寄与できるよう安全に工事を進める」と話し、工事への理解と協力を呼び掛けている。

アンダーパス工事の現場。軌道の安全を確保する慎重な作業が求められる