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2025年

長峰山山頂の草原、鹿の食害が深刻化 ダニの生息拡大も確認

2026/03/17
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 安曇野市東部の長峰山(933メートル)山頂部で、鹿の食害が深刻化している。市内で唯一まとまった草原環境が残り、貴重な植物が自生するが、昨年は開花期になってもほとんど花が見られなかった。鹿に付着して入ったとみられるダニも多数見つかり、市は鹿の侵入を防ぐ柵の設置を検討している。

貴重な草原が残る長峰山山頂部。平成28(2016)年9月はタムラソウが咲きチョウも訪れていた


昨年9月は花が一つも見られなかった長峰山山頂部

 食害は山頂部の草原全体に及ぶ。市レッドリストの絶滅危惧種に載るタムラソウのほか、オミナエシ、ナデシコなど日本の秋を代表する昔ながらの草花が激減し、ススキと鹿が好まないワラビばかりが目立つ。付随して草原環境に依存する希少昆虫も激減している。
 山上部の環境維持を担う団体の一つ、NPO法人・森倶楽部21の森芳昭理事長(70)=安曇野市堀金烏川=によると、鹿は5、6年前から侵入するようになった。団体が管理する山上部東側の草原の一つ「蝶の森」で行ったタムラソウの調査では、平成29(2017)年に43株の開花が確認できたが、5年後の令和4年は5株に減った。
 鹿の侵入を受け、市は草原環境の維持に協力する各団体などと庁内関係課で対策を協議している。柵の設置は「選択肢の一つ」としているが、森倶楽部21が5年に独自に設置した侵入防止柵の内側では希少植物の復活と、ダニ生息数の少なさが専門家らの調査で確認されており、早期設置に期待する関係者は多い。
 長峰山は3月末に林道の冬期閉鎖解除が予定され、車で行かれるようになる。マダニは致死率が高い重症熱性血小板減少症候群(SFTS)のウイルスを保有する恐れがあり、草むらに入る際は、長袖長ズボンで肌を出さないなど注意が必要だ。マダニは長峰山に限らず、野生動物が出没する場所などに広く生息している。