学校の視聴覚教材、貴重な映像資料に 松本市教育文化センター、フィルム中心に約1000点保管

新年度から長期改修に入る松本市教育文化センター(里山辺)に、1000点近い映像資料を誇る「松塩筑学校フィルムライブラリー」が眠っている。昭和30年代以降、学校現場に視聴覚教材を貸し出し、児童生徒の教育に役立てられてきたが、近年はICT(情報通信技術)環境の急速な進展に伴い利用がなくなった。ただ、中には資料価値のある貴重な映像も含まれており、調査・研究や社会教育への活用を望む声がある。
センターの一室、移動式配架棚に昭和期のフィルムを中心とした膨大な映像資料が保管される。「本州の屋根」「四国地方」「インド」といった地理や産業、民俗に関わるものから「骨格」「石炭とガス」「木管楽器」などさまざまだ。主要教科にとどまらず芸術や保健体育、道徳に至る幅広い分野を網羅し、子供の教育の他、教職員研修にも役立てられてきた。
過去の新聞記事などによると、ライブラリーの発足は昭和31(1956)年。視聴覚メディアが乏しかった時代に、松本・塩尻両市や東筑摩郡の学校関係者が共同で運営し、希望する学校に資料を貸し出してきた。目や耳に訴えることで学習の理解を助ける目的で、元開智小学校長の太田宏さん(70)は「先生になりたての頃は映写技術の講習もあった」と懐かしむ。資料は毎年買い足され、充実も図られた。
ただ近年はICTが急速に進展し、とりわけ新型コロナウイルス禍を機に学校現場にもタブレット端末が普及。ビデオやDVDを含め、ライブラリーの利用はなくなった。
教材としての使命を終える一方、6年前には戦後間もない時代に松本平で撮影された映画のフィルムが収蔵品の中から見つかるなど、映像そのものの資料価値が注目される出来事もある。情報教育担当の指導主事としてセンターに勤務経験がある小松幹・島内小学校長(59)は「市民向けの公開も含めて時代に見合った活用がなされれば、貴重な資料も報われるはず」と話す。
センター改修では、ライブラリーの保管環境の強化が予定されるという。市教育委員会の担当課は、資料の歴史的価値も踏まえながら、「所管を含めた在り方の検討が今後必要になる」との認識を示している。



