松本のレストランどんぐり店主・浅田修吉さん引退へ 事業承継で店舗は継続
松本市のレストランどんぐり(中央1)の店主・浅田修吉さん(67)が3月1日で引退する。松本駅前で72年続く名物店を営む傍ら、全国の災害被災地で炊きだしボランティアを重ねるなど食を通じた社会貢献活動にも取り組んでいる。事業はM&Aで県内の企業に譲渡するが、現店舗はそのまま「どんぐり」として事業承継される。
同店は昭和29(1954)年、浅田さんの父の正夫さん(故人)が現在地に創業した。浅田さんは松商学園高校を経て東京の専門学校で学び、都内の飲食業界で3年ほど修業して56年に帰郷した。先代の味を継承しつつ多彩なメニューを加え、利用客に親しまれた。「けんたろうのスパゲティ」などパスタやオムライスに4人の子どもの名前を付けたメニューを開発し、家族への愛情を表現した。
62年に始まった松本の冬のイベント・国宝松本城氷彫フェスティバルの運営にも関わった。調理師仲間と共に会場や街なかで氷の滑り台や漫画のキャラクターの彫刻を造って飾り、市民や観光客を楽しませた。
平成7(1995)年1月の阪神大震災の際には、炊き出しボランティアとして神戸市に1カ月ほど滞在し被災者を支えた。以後、松本市炊き出し隊みらいを結成し東日本大震災、熊本地震、能登半島地震など十数カ所の被災地で活動を展開した。地元では、こども食堂にも協力する。
障害者福祉にも心を砕いた。17日は松本視覚障害者福祉協会など関係者が同店で浅田さんを囲み、点字メニューの開発や盲導犬、聴導犬といった身体障害者補助犬の育成・啓発の募金活動に尽力した浅田さんに感謝を伝えた。同協会の田中秀長副会長は「ありがとうに尽きる。よき理解者であり障害者が店で料理を楽しむことにも力を貸してくれた」と話した。
ここ数年はけがや病気に見舞われ、体調は万全ではなかった。浅田さんは「44年、自分が思うままにできたのは従業員と家族のおかげ」と言い、閉店も考えていたが「いい縁で店が残ることになってよかった」と語る。
店は18日と19日は休み。最終日の3月1日は午後3時まで。




