0000日(木)
2025年

林野火災注意報悩ましく 松本地方 火扱う伝統行事 難しい開催判断

2026/02/15
後で読む
今年のコトヨウカ
今年のコトヨウカ(2月8日、松本市入山辺厩所)

 屋外での火の取り扱いを制限する林野火災注意報の運用が松本広域消防局管内でも1月に始まり、火を扱う各地の伝統行事に新たな課題が浮上している。小正月の三九郎やコトハジメ(2月8日)の「コトヨウカ」は毎年決まった時期に行う習わしとして受け継がれるが、今年は林野火災注意報の発令に伴い大幅に延期したり、中止したりする地域が出た。伝統の継承か法令の順守か、住民が揺れている。

 今月8日、松本市入山辺の厩所集落で「貧乏神送り」と呼ばれる伝統行事が行われた。災いを払う「松本のコトヨウカ行事」の一つで、住民総出で作ったわら馬を薄川まで運んで焼く。毎年必ず2月8日に行うが、今年は1月29日に発令された林野火災注意報が8日午前の解除まで10日間続き、関係者をひやひやさせた。
 そもそも厩所では1月14~25日の林野火災注意報を受け、1月15日に予定した三九郎を10日間延期した前段があったという。2月8日は未明からの積雪もあり無事わら馬を燃やせたが、ある地元の男性は「行事を守る上で担い手確保に続く新たな課題。どう両立していくべきか」と頭を悩ませていた。
 林野火災注意報は全国で相次ぐ林野火災を背景に導入され、降水量や空気の乾燥の条件が基準に達すると発令される。罰則付きで火の使用を制限する火災警報と異なり、注意報では火の使用制限が努力義務にとどまるが、同局予防課は「危険な状況に変わりはない。発令中は外で火を使わないで」と呼び掛ける。
 とはいえ一度発令されると、いつ解除されるか分からない難しさが行事を左右する。市内では三九郎の実施日が定まらない中でやぐら作りに翻弄されたという声や「結局だるまをクリーンセンターに持ち込んだ人もいた」と話す市民もいた。
 民俗に詳しい窪田雅之・元市立博物館長は「今日に残る行事はいずれも、長く続けるための工夫と共にあり続けてきた。時に柔軟な判断も取り入れながら、継承することを何よりも大切に支えていって」と話している。