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2025年

日中韓の歴史を直視しよう 「東アジア文化都市」プレイベント始まる

2026/02/03
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 日中韓3カ国が文化交流する「東アジア文化都市」(文化庁など主催)が5月に松本市で開幕するのを前に、開催に向けた機運を高めるプレイベントが市内で始まった。3カ国の歴史を巡っては、戦争や支配、被支配など負の側面があることから、それらも含めて過去を直視しようと市実行委員会が主催。キックオフとなるイベントが1月29日夜に同市大手4の上土劇場であり、100人の来場者が文化芸術を切り口に歴史と向き合った。
 「3つの国のあわいで考えるディープレクチャー」と題した連続講座の第1弾で、近代の歌舞伎が描いた戦争や中国を取り上げた。前半では明治大学の日置貴之教授が講義。1600年前後に誕生した歌舞伎が「明治期になって初めてリアルタイムの戦争を描いた」「目で見ることのできる動くメディアだった」と指摘した。後半では日清戦争時に作られた歌舞伎の演目『会津産明治組重』を俳優らが朗読。日本で暮らす清国出身の男性が登場し、蔑まれる六幕目を取り上げ、差別の構造などを考察した。
 開催にあたっては事前勉強会に参加した10~20代の若者が講義内容の「レクチャー用語集」を作成し、来場者に配布した。メンバーの一人、松本県ケ丘高校1年の山崎花峰さん(16)は「日本と隣国の歩みを報道とは別の形で知ることができた」と話していた。
 第2弾は同会場で4月23日午後6時半から。在日コリアンが描写される落語の演目「代書」を割愛せずに取り上げ、日韓の関わりを掘り下げる。ゲストは落語家・桂米團治さんと大阪大学の杉原達名誉教授。
 ナビゲーターを務めるまつもと市民芸術館の木ノ下裕一芸術監督団長は企画の意図について「異文化交流はネガティブな側面も含めた歴史の正視から始まる。排外主義が懸念される時代だからこそ過去に向き合い、互いを理解し合えるように」と話している。

歌舞伎を通じて近代を語る出演者たち