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2025年

火の扱いに戸惑う農家 林野火災注意報の運用1カ月

2026/01/31
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 松本広域消防局が林野火災注意報の運用を始めて31日で1カ月になる。注意報発令時は屋外での火の取り扱いを中止する「努力義務」が課され、発令日数は1月だけで計13日を数える(30日現在)。一方、県内有数の農業地帯が広がる安曇野市では、春にかけて果樹の剪定枝の焼却や田んぼのあぜ焼きなどの火を使う農作業が欠かせない。農家からは注意報の扱いを巡って戸惑う声も聞かれる。

池上さんらのブドウ畑に積まれた剪定枝。全て剪定すると農地内に50個ほどの山ができ、焼却には最長で約3週間を要する

 「燃やす時は天気予報とにらめっこになる」。明科七貴の約4・5ヘクタールの畑で仲間と共にワイン用ぶどうを栽培する池上文康さん(66)は来月、畑の脇に積み上げた剪定枝を焼却する予定だ。例年、消防署に届け出た上で風の穏やかな日の朝に行う。500リットルの可搬水槽を用意して延焼に備えるなど、防火に余念がない。
 一方、林野火災注意報の詳細な内容は「確認できていなかった」と明かす。「昔ながらの習慣で野焼きをする人もいる。周知の方法を考えないと」と指摘した。
 「1件でも火災を減らしたい」。同消防局穂高消防署の青木憲太郎署長は昨年12月から、管轄内の農家組合や各区の集会に自ら足を運び、注意報の周知を図っている。1月25日も穂高地域内の地区公民館で説明会を開き、住民28人が参加した。
 風があるときは中止、予備散水、複数人での作業―。9項目に及ぶ注意事項を記した書類を住民に配った。最初の項目には「注意報が発令されたら(あぜ焼き・たき火を)中止」とある。説明を聞いた兼業農家の男性(60)は「各地で火災が起きている。ルールはしっかり守りたい」。ただ、あぜ焼きは病害虫防除のため、古くから続けられてきた。「農家の肩身が狭い時代ではある」ともこぼした。
 松本広域消防局が14日に出した注意報は、16日未明から早朝の解除を除くと、11日間継続した。29日にも発令され、同日夜はまとまった降雪があったが、30日も続いた。同消防局予防課は「農家にとって不都合や悩みがあることは把握している」とした上で、「近年の気象状況はこれまでと違う。注意報発令時は屋外での火の取り扱いを中止して」と呼び掛けている。