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2025年

愛情注ぎ、心通う教育に 松本で35年間、子供たちを支援したアルゼンチン出身の女性

2026/01/18
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 松本市で35年間を過ごしてさまざまな事情を抱える子供たちの支援に携わり、母国のアルゼンチンに昨年帰国した掛野アナマリアさん(73)が22日まで、松本に短期滞在している。日本で暮らす長女の出産に合わせて第二の故郷に“一時帰国”。くじけず明るく前向きに、異国の地でも多くの人々に愛情を注ぎ続けたアナマリアさんを慕って、13日に市内で、彼女の言葉に生きる姿勢を学ぶ小さな茶話会が開かれた。

両国を行き来しながら教育に関わった経験を語るアナマリアさん
両国を行き来しながら教育に関わった経験を語るアナマリアさん

 同市県1のマンマ・ミーアを会場に親交のあった市民ら15人が集まり、アナマリアさんが語る生いたちや哲学に耳を傾けた。
 日本人の男性と結婚し、平成2(1990)年に4人の子供を連れて約2万キロ離れた日本の土を踏んだ。母国で小学校教員だったこともあり、来日後も市内の小学校で特別支援教育支援員などに従事。根幹には国境を隔てても変わらない「命や心を重んじる価値観」があったという。
 外国籍だったり発達障害だったりと関わる子供はさまざまだったが「ちょっと周りと違うだけ。すごく楽しかった」。一人一人に個別に向き合い、その子が好きなこと、喜ぶことを通じて心を通わせたという。子供を縛りつけるのでなく、肯定的な言葉と無償の愛で「そっと背中を押す」必要性に言及。鑑賞用に手を入れ理想の姿に育てる盆栽と日本の教育を重ね「水や人の手のない砂漠でもサボテンは美しい花を咲かせる」と語った。
 日本は街が美しく他国の尊敬も集めるが、道を歩いても会話が生まれず寂しい思いをしたと振り返り「足りないのはコミュニケーション」と述べた。「学校の中も同じ。日本は不登校の子供が大勢いるがアルゼンチンはそんなにいない」とし、柔軟で温かな環境が広がるよう願った。
 日本滞在中、マンマ・ミーアを営む増田龍美さん(73)の元にホームステイしている縁で企画された。元市教育委員長の斉藤金司さん(85)は「ドクンドクンと生きた人間の血が通う、その姿勢が子供たちにも伝わるのだろう」と再会を喜んだ。