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2025年

御嶽国定公園が春にも誕生 山麓地域の活性化に期待

2026/01/01
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 御嶽山は早ければ今年春、国定公園に指定される。標高3000メートルを超える火山性独立峰の雄大な景観、変化に富む自然植生などが評価され、県内5番目の国定公園となる。県や山麓の木曽町、王滝村などは指定を機に、御嶽山と山麓地域のさらなる魅力発信とともに、被災から11年が経過した噴火災害の記憶継承と防災啓発につなげていきたい考えだ。

王滝村側の登山口・田の原から望む御嶽山(昨年9月)
王滝村側の登山口・田の原から望む御嶽山(昨年9月)

 長野県側の1万8869ヘクタール、岐阜県側の9536ヘクタールが国定公園指定される。火口群や火口湖といった火山特有の地形、高山植物群のある区域やライチョウの生息域では「特別保護地区」が設定される見通し。同地区は現状維持を原則とし、工作物設置や土地の形状変更、動植物採取などが規制される。また、登山道整備や道標の多言語化などに国庫補助を活用することも期待できるという。
 指定に向けた地元の動きも活発になってきている。昨年12月には、県や山麓自治体、観光商工団体などでつくる「御嶽山国定公園(仮称)指定記念事業長野県実行委員会」が発足。7月上旬に記念式典を開き、指定を盛大に祝うとともに、御嶽山の自然や文化、噴火からの復興の歩みを広く発信していくとした。
 実行委の会長に就いた王滝村の越原道廣村長は「全国的にはまだ低い御嶽山の知名度を高め、多くの人に来てもらうことで地元の活性化につなげたい」と力を込める。同副会長で木曽町の加藤真和町長は、登山需要の増加はもちろん、「中山道から離れた三岳地区に観光客が周遊するきっかけにもなれば」と期待する。
 地元観光業界の期待も大きい。約200事業者が加盟する木曽おんたけ観光局の三邨佳之代表理事は「会員と連携して国定公園指定に関する情報を発信し、地域の観光・経済振興につなげたい」と話す。
 「火山との共生」を目指し火山防災啓発などに取り組む「御嶽山火山マイスターネットワーク」も来年度以降、指定を踏まえた啓発事業などを実施していく方針だ。事務局の近藤裕吾さんは「噴火の記憶の継承、防災意識の向上につなげていきたい」と語る。