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2025年

太陽・月描いた珍しい「日月二星」涅槃図 松本・堀米で確認 市内4例目

2026/01/01
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堀米にもあった、太陽と月の両方が描かれた涅槃図

 松本市島立の堀米公民館向かいにあるお堂・如意庵に保管されている涅槃図が、太陽と月の「日月二星」が描かれた珍しい構図の物と確認された。これまで市内には3カ所に日月二星の涅槃図があることが確認され、市立博物館で昨年2月に開かれた涅槃図の特別展で紹介。その絵を見た住民が、如意庵の涅槃図にも日月が描かれていることを突き止めた。
 涅槃図は縦155センチ、横81センチで堀米町会が所有し、高齢者クラブの堀米福寿会が管理している。市立博物館の市民学芸員で、福寿会会員の中澤昌久さん(68)が昨年11月、「お十夜法要」の際に披露された涅槃図を見て「これは」と思い、博物館関係者に連絡した。
 日月二星の涅槃図は、堀米町会に隣接する大庭町会にもあり、中澤さんは「絵柄の構図は違うが、関連性があるのだろうか」と思いを巡らせる。福寿会の伊藤悦夫会長(78)は「町会のほとんどの人は涅槃図の存在を知らない。さまざまな機会に見てもらいたい」と話す。
 多くの涅槃図は入滅した2月15日にちなんで満月が描かれる。博物館の木下守前館長によると、日月二星の涅槃図は東京・大井と栃木県日光市などに確認される程度という。「町会などに眠っている物から思いがけない発見がある。機会を見て宝を広げて(見て)ほしい」と、住民が地域の文化財に関心を寄せることを期待する。
 昨年の特別展以降、博物館には市内外の個人や寺、町会などから「うちにも涅槃図がある」などと情報が寄せられている。前田利惠学芸員は反響を喜び、「仏教絵画の絵師の動向が明らかになるきっかけにもなる」と話す。涅槃図に限らず「地域の文化財を紹介していくことができれば」と見据えている。