0000日(木)
2025年

木曽漆器職人目指し修業 塩尻・地域おこし協力隊の中村さん

2025/12/27
後で読む
木曽漆器職人の見習いとして仕事を始めている中村さん

 塩尻市の地場産業で国指定伝統工芸品・木曽漆器の職人を目指す地域おこし協力隊員として、秋田市出身の中村忍さん(23)が今月着任し、木曽平沢で修業を始めた。市の産地存続や人材育成支援事業の一環で、中村さんは、木曽平沢の伊藤寛茂さん(54)が営む漆器製作販売の伊藤寛司商店で仕事をしながら技術習得に努めている。
 中村さんは木曽平沢に住み、11日から店で働く。丈夫な漆器を作るため生漆を染み込ませる「木固め」といった下地作りの作業を、おわんなどで手掛ける。上塗り前の数多くの工程をできるようにするのが当面の目標だ。指導する伊藤さんは「真面目で仕事は丁寧。数をこなせばスピードも上がる。若い子がいれば明るい未来が見える」と話している。
 1歳上の姉の影響もあり、子供の頃から美術が好きで秋田公立美術大学に進学。大学2年時に同大学院生の漆作品を見て、質感などの美しさに魅了され、漆を専攻し学んだ。今春卒業し、秋田市内の外構・造園会社の営業職に就いたが、インターネットで木曽漆器の職人見習いの募集を知り、「今なら路線変更しても大丈夫かな」と、思い切って応募したところ採用された。初めての県外生活にも奮闘している。中村さんは「黙々と漆を塗るのが好き。技術的にもっとできるようになりたい」と意気込む。
 市商工課によると、産地要望に基づく木曽漆器職人を目指す地域おこし協力隊員の採用は3人目。現在、中村さんを含め20代の女性2人が修業をしている。