豊科郷土博物館友の会 戦時の体験談・資料を冊子に 平和教育の教材として学校へ配布
2025/12/25
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安曇野市豊科郷土博物館友の会戦時生活部は、戦後80年を機に戦時体験談や資料を全市的に集めた調査の結果を冊子にまとめ、市内の学校や博物館施設などに配布している。戦争体験者の生の声を平和教育に役立ててほしいとの思いからで、急逝した太田寛市長も生前、教材としての活用に賛同していたという。
成果発表として11月に同館で開いた「『安曇野にも戦争があった』展覧会」の記録集で、A4判128ページ。戦争体験者や遺族ら計65人から部員が聞き取った空襲、学徒動員、シベリア抑留、朝鮮半島からの引き揚げなどの体験談を掲載している。
会期中には660人以上が来場。「展覧会で終わらせていいのか」「若い世代に伝える方法を考えてほしい」などの感想を受け、冊子にした。平和事業に人一倍熱心だった太田市長も死去前日に公務の合間を縫って来館した。1時間以上かけて体験談を全て読み、冊子化計画に「そりゃいい!やって!」と強くうなずいていたという。
各小中学校と高校に配布中で、図書館や同博物館にも置かれる予定。部員の山口良夫さん(77)=堀金烏川=は「大勢の人が展示に心を動かされたと思う。戦争体験者が減少しているこのタイミングに調査してよかった」と話す。発起人の百瀬新治さん(74)=同=は「展示を見た小学生たちも目を丸くしていた。被爆地や沖縄だけでなく身近な所でも戦争があったことを直接伝える冊子を学校で上手に使ってほしい」と願っている。




