登山家・山岳カメラマン 故平出和也さんの功績紹介 塩尻市立図書館で企画展

塩尻市で幼少期を過ごし、昨夏パキスタン北部の世界第2位の高峰K2(8611メートル)で滑落死した登山家で山岳カメラマンの平出和也さん=当時(45)=に関する企画展「アルパインクライマー平出和也展―未踏ルートへの挑戦」が来年1月6日まで、塩尻市立図書館で開かれている。平出さんが愛用した装備品ほか、平出さんの功績を紹介するパネルを展示、登山の記録映像を上映している。
装備品は靴やアイゼン、ゴーグルのほか、寝袋、バッグを含め約40点が並ぶ。平出さんは荷物を軽量化し登る流儀で知られる。展示品には、平成20(2008)年にインド・カメット峰(7756メートル)に新ルートからの登頂に成功、登山界で最も権威があるとされる国際的な「ピオレドール賞」を日本人として初受賞したときの金のピッケルもある。
平出さんの登山の軌跡をまとめた約16分の映像作品は平出さんの妻に提供を受けた。備え付けのタブレット端末では、パキスタン・カラコルム山脈の登山時の映像も見られる。鑑賞者が感想を記入できるノートも用意し、後日家族に渡す。
平出さんは組合立両小野中学校出身。警察官だった父親の仕事の都合で塩尻周辺で子供時代を過ごした。K2挑戦前に母校で講演もしている。図書館では、令和5年発行の著書を機に「信州しおじり本の寺子屋事業」の講師を依頼したが、当時は多忙でかなわなかった。塩尻と縁のある人の功績を知ってほしいと企画、諏訪郡富士見町にある実家から遺品を借りた。平出さんの両親や妻ら家族のほか、所属した石井スポーツが写真パネルの貸し出しなどで協力した。
図書館の企画担当・桐沢梨央さん(29)は「貴重な品をお借りでき、県外からも大勢が来館し反響の大きさを感じる。皆さんに愛された方で、挑戦する姿が、年代を問わず(多くの人の)『生きる力』になっている」とみる。年末年始は29日~1月3日休館。鑑賞無料。



