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2025年

松本シルバー人材センター 門松製作今年で最後に 作り手会員の高齢化、材料の調達困難で

2025/12/19
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 松本市と山形村の会員で構成する松本地域シルバー人材センターが毎年、年末年始に合わせて2市村の企業や団体、個人向けに受注販売している門松づくりが今年で最後になる。門松を作る会員の高齢化と、材料の「孟宗竹(モウソウチク)」やマツなどが入手困難になったためで、地域に親しまれてきた同センターの門松を見られるのもあとわずかとなる。
 同センターの門松製作は30年ほど前に始まった。会員でつくる「門松班」が毎年、年末に向けてモウソウチクやマツ、スギなどの材料をそろえて作ってきた。多い時は500基以上を販売する年もあったという。ただ、近年は材料の調達が難しくなり、モウソウチクは木曽郡、マツは南佐久郡佐久穂町まで班員が出向き採取してきた。
 門松製作の終了はここ数年、議論してきたという。材料の入手が年々難しくなってきたことと、会員の高齢化が進んだことで決断に至った。門松班の丸山秀男班長(74)=松本市梓川梓=は「班員の多くは本当は続けたい気持ちだが材料を採りに行くのも大変になった」と苦渋の心境を語り「30年以上続けてこられたのも市民の応援のおかげ」と感謝した。来年はしめ縄の販売に注力するという。
 今年は松本市と山形村の企業や団体など44カ所から注文があり、班員が2人一組となって今月27日まで設置作業をする。その時に販売終了を知らせ、理解を求めるという。
 18日は毎年寄贈している松本市役所に、班員の村上順一さん(85)=同市波田=と百瀬精一郎さん(77)=山形村=が出向き、本庁舎玄関前に高さ150センチの門松1対を設置した。2人は「製作の終了は仕方ないが残念」と話し、飾り付け作業に当たっていた。
 市健康福祉部の加藤琢江部長は「門松は市役所を訪れた人に年の瀬を感じてもらう存在だった」と残念がり、来年度以降の対応を今後、検討するという。

市役所玄関前に最後の門松を飾り付けるシルバー人材センター門松班の班員