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2025年

子ども食堂を防災拠点に 避難所想定の宿泊体験企画

2025/12/12
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 松本地方の子ども食堂が自然災害に備えて防災力を高めている。子ども食堂を運営するNPOホットライン信州(松本市)は、地震や水害などの際に落ち着いて行動できるように防災体験を催し、参加者が必要な事柄や注意点を確かめている。8日に青森県東方沖でマグニチュード(M)7・5の地震が発生。いつどこで災害が起きるか分からず、備えの重要性が高まる中、子ども食堂が緊急時に支援の拠点となるよう努めている。
 今月6~7日、安曇野市堀金烏川の宿泊温泉入浴施設・ほりでーゆ~四季の郷で、震度6の地震が起きた想定で初めてとなる1泊2日の防災体験が行われた。中南信の子ども食堂の関係者、個人ら約110人が参加。小中学生や幼児も集まった。ホットライン信州の防災士に携帯トイレや災害グッズの使い方を教わった。
 避難所での就寝のように布団を並べた雑魚寝を体験した。夜泣きをする赤ん坊を連れた参加者は別にテントを立て一夜を過ごした。バッテリー付きの電子レンジで朝食を用意し、おにぎりとみそ汁を味わった。
 災害時の避難所では集まった人たちの協力が重要になる。その場合に備えて宿泊する防災体験を企画。コミュニケーションの取り方を学ぶ機会とした。
 ホットライン信州の青木正照専務理事(76)は災害時、住民それぞれが備えた食料でまず対応し、次の段階で食料品の蓄えがある子ども食堂の炊き出しなどを想定する。「子ども食堂が災害に強い場所であってほしい」と力を込める。
 令和元年の台風19号による千曲川の氾濫で、長野市の子ども食堂が水没し、その際の支援活動が根底にある。ほりでーゆ~の防災体験では、参加者が災害時の行動を思い描き、意識が高まった。青木さんは「災害に強い地域コミュニティーにしたい。互いに助け合う、支え合う仕組みが防災の強い力になる」と話していた。

ほりでーゆ~四季の郷で行われた防災体験。災害用支援物資などが配布された