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2025年

緊急銃猟 人材確保に苦慮 塩尻市 ハンター名簿作れず

2025/12/11
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県が示した緊急銃猟の捕獲者リストの案。懸念材料があり、現時点では名簿搭載が難しい状況だ

 人里近くで熊の目撃が相次ぐ中、塩尻市では、緊急銃猟に向けたハンター確保に苦慮している。県に準じた市独自のマニュアルを作成中だが、奉仕の精神で有害鳥獣対策に協力するハンターに損害や不利益を生じる可能性が否定できないことなどから、緊急銃猟に携わる人の名簿を作成できない状況だ。
 市議会12月定例会の古畑秀夫氏(市民派連合)の熊対策の一般質問に、花岡昇農林部長が答えた。花岡部長は「県で作成が義務づけられた捕獲者リストに掲載できるハンターが集まらないため作成できない」と説明した。
 9月から、一定の条件を満たせば自治体の判断で市街地での緊急銃猟が可能になったのを受け、県は10月末に「ツキノワグマ出没時対応マニュアル」を提示、市町村単位でマニュアルの策定を求めた。緊急銃猟を行う捕獲者は、狩猟免許の所持の種類や捕獲経験の要件を記し名簿化することになっている。
 市は地元猟友会に声を掛けたが、リスト化できない理由に、平成30(2018)年に北海道砂川市でヒグマ駆除のハンターが猟銃所持免許を取り消され訴訟中の背景があるとする。花岡部長は「(関係者は)最高裁判決に注目」しているとし「現時点で緊急銃猟を実施したハンターが違反になる可能性が否定できない」とも答弁した。
 市独自の対応マニュアルは、熊の出没時の対応基準レベルの設定や「排除地域」といった区分けをする予定だ。名簿がないと緊急銃猟は事実上難しいが、従来通りの捕獲対応はできるとしている。県内の他自治体でも同様の問題があるという。