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2025年

塩尻片丘の甕進さん 国交相表彰 バス事業 長年振興

2025/12/10
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表彰状を手に、周囲への感謝を語る甕社長

 塩尻市片丘在住で、貸し切りバス事業を手掛ける平成交通(松本市内田)社長の甕進さん(77)は、本年度の「自動車関係功労者」として国土交通大臣から表彰された。長年、バス事業の振興に努めた功績が評価された。新規参入が厳しい時代で、免許を得るのに10年もかかり苦労したが、平成4(1992)年に創業した。この33年間を振り返り、「従業員や周りの助けがあって続けてこられた」と感謝する。「人の命を預かる安全が命の仕事。細心の気持ちで取り組みたい」と気持ちを引き締めている。
 高校卒業後、旅館「崖の湯温泉 群上閣」を営む傍ら、利用客の送迎手段として、バス事業の参入を目指した。当時の昭和50年代は基準が厳しく、運輸局に提出書類を受理してもらうまでに6年、運輸局の聴聞会をクリアして免許を得るまでにさらに4年かかった。
 平成12年からのバス事業の規制緩和で許可制になり、県内の事業者数が増加した。営業区域の緩和、新型コロナウイルス禍、外国人観光客の増加と、社会は変化し続けるが、「慌てない。お客さまに本当に選んでもらえる商売をしよう」と信念を貫いてきた。
 創業時は中・小型バス計5台でスタートした。現在は大・中・小型12台を所有する。タクシー事業や旅行業も手掛けている。「ブレーキの踏み方一つでも、お客さまへの気配りができる」と乗務員教育に力を入れる。
 従業員は32人で、毎月の給料は今も現金給付だ。「時代遅れかもしれないが、『ご苦労さまでした』と声を掛けながら手渡すことで、社員が初心に戻れる効果があると思う」と話す。来春に、現在の事務所の近くに新社屋が完成する。従業員が働きやすい環境も整備する。「陸上移動のパイオニアを目指している。これからも安全第一で、気持ちよく働ける雰囲気の会社でありたい」と意気込む。
 8日は塩尻市役所で百瀬敬市長に表彰を報告した。市が実証実験を行う自動運転バスの取り組みを後押ししたいとして、市に10万円を寄付した。