松本のバイオリン職人・井筒信一さんの偉業顕彰 弟子が祝賀会計画
2025/12/09
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松本市中山のバイオリン職人・井筒信一さん(89)の弟子ら約20人が、井筒さんの職人生活70年、生誕90年の節目になるのを記念したイベントの開催を来年6月に計画している。唯一無二の「松本発、こだわりのバイオリン」を生み出し続け、「楽都・松本」の一翼を担う井筒さんの偉業を多くの人に知ってもらおうと企画した。

同市島内の市音楽文化ホールで6月28日に開催する。井筒さんと司会者が半生を振り返る対談を行うほか、松本深志高校や筑摩小学校(いずれも松本市)の校舎の廃材で製作したバイオリン、ビオラ、チェロによる演奏を披露する。米国の「Thunder Egg Consort(サンダーエッグコンソート)ピアノ弦楽四重奏団」によるコンサートを予定する。
公演のほか2月と5月には、子供たちを対象に、井筒バイオリンの材料である北海道・釧路産の木材を用いた「切る」「削る」「磨く」「ニス塗り」の体験企画も計画している。
米国ワシントン大学名誉教授で、令和4年に市内に移住した大内二三夫さん(76)らが準備を進めている。同年に井筒さんにインタビューしたのが縁で弟子入りし、職人技を間近で見てきた大内さんは「楽器を作ることも音楽の一部。幅広い『音楽』を市民に身近に感じてほしい」と話している。
井筒さんは、ろくろ職人だった父・金吾さんの仕事を小学校に上がる前から見て育った。「(作業工程で)何でああやるのか考えるのが大事」と言われ、作業のこつや段取りを常に意識して見ていた。19歳の頃に知人からバイオリン製作を勧められた時は、金吾さんに「やりたいと思った仕事が見つかったら、死ぬまでやらなきゃだめだ」と言われ、覚悟を決めてバイオリン製作の道に入った。弟子たちの企画に「ありがたいことで、うれしい」と感謝している。



