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2025年

復元住居補強、住民の力で 木曽町三岳の若宮遺跡

2025/12/05
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 木曽町三岳地区で本年度、地域資源や歴史を学び、自分たちにできる地域づくりを語り合う「三岳地域学講座」が開かれている。講座を重ねる中で、地元の宝である町指定文化財「若宮住居遺跡」にも目が向けられ、その年間活動の一環として、復元住居に生じたゆがみを調整する補強作業が住民の手で行われた。

竪穴住居の補強作業
地中に埋まる本来の遺構を保護するため、地表に再現されている竪穴住居の補強作業は慎重に施された

 若宮住居遺跡は昭和29(1954)年に発掘され、31年に木曽谷で唯一復元された古代住居跡。釣手土器の出土でも知られ、53年、平成14(2002)年、31年と改修が重ねられてきた。屋根には天然のヒノキの皮が使われており、文化的価値の高い構造となっている。
 昭和31年に復元された竪穴住居全体にゆがみがみられたことから、何回かの現地調査を重ね、11月24日の作業には住民有志ら約10人が参加。今冬の積雪に備え、パイプやジャッキを用いて構造の安定を図った。
 作業を呼び掛けた三岳公民館の外戸賢二館長は「声掛けに多くの皆さんが応じてくれた。地域の力をあらためて感じた」と語った。初回復元から改修に関わってきた地元の清水恵義さん(90)も現地を訪れ、「次の世代が責任を持って守ろうとする姿勢は本当に尊い。こうして受け継がれていくのが一番うれしいことだ」と満足げな表情を浮かべた。
 三岳地域学講座の本年度の活動を振り返る交流会が13日午後1時から、三岳交流促進センターで開かれる。事前の申し込みが必要で、問い合わせは三岳公民館(電話0264・46・2001)へ。