太田市長死去 安曇野市の新年度予算編成に影響 先行き不透明 確定遅れも
安曇野市の太田寛市長の死去から週が明けた1日、市役所では職員が黙とうをささげて亡きリーダーの冥福を祈った。市長不在の動揺は市政全体に広がっており、中でも10月に始まった新年度当初予算案の編成作業への影響は避けられない。新たな市長の考え方次第で当初予算案の内容もスケジュールも左右されるため、先行きが不透明な状況にある。
当初予算案は財政課長と政策経営課長の査定が今週始まり、政策部長と総務部長による査定が今月下旬に予定されている。太田さんからの指示に基づいて公約をベースに予算が組まれている。
市が描く予算案確定の道筋について、ある幹部職員は「例年より少し遅れるが、市議会3月定例会の開会に間に合うペースで提案したい」と語る。新市長には就任早々に査定をお願いし、新年度の新規事業については「確認」にとどめ、このタイミングでの市長交代の影響を最小限に抑えたいと見据える。
ただ、新市長が太田さんの政策路線を引き継ぐかどうかは分からない。ある職員は「取りあえずは今のペースで予算編成を進めるしかないが、もし全く違う路線の市長になったら…」と警戒する。新市長次第で予算案の確定がかなり遅れることも想定している。
仮に、新市長の意向で「骨格予算」とした場合、市議会3月定例会の初日に骨格予算案を提出し、会期中に新市長が公約に基づく政策を肉付けして定例会最終日に補正予算案を提出するという「離れ業」も選択肢としては存在するという。
新市長が太田さんの路線を踏襲する場合も新市長や職員に困難が待ち受ける。公約で施策としての形は示されているが、実現に向けた「設計図」は太田さんの頭の中にしかなかった。幹部職員は「私たちにはそれが分からない」と困惑する。1期目は太田さんならではの豊富な人脈で実現した施策も多く、他の人ではまねできないという困難もある。
市長不在の影響は他にもある。太田さんが出席予定だった会議などは、市長職務代理者の中山栄樹副市長や担当部長の代理出席でカバーするが、秘書広報課は「市長が任命されているものは代理が利かない」とする。15日に予定されている県森林審議会や17日の信州安曇野ハーフマラソン実行委員会などは欠席となる見通しだ。




