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2025年

塩尻・奈良井区 空き家対策本腰 委員会設置 建物管理の有料サービスも

2025/11/26
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空き家対策として建物管理サービスの仕組みを作り、チラシで区内外にPRする小嶋区長

 塩尻市の奈良井区は本年度、喫緊の課題として空き家対策に乗り出した。国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)を抱える区内で「空き家対策委員会」(荻村昭久委員長)を設置し、空き家情報の集約や相談受け付け、適切な管理、活用を支援する仕組み作りを進めている。管理不全や発生の防止に努め、住民が安心して暮らせる地域づくりを目指す。
 5月に設けた対策委は区の執行部役員と4町会長ら委員9人で成る。市や、不動産を扱うしおじり街元気カンパニー、従来からまちづくりに関わる東京大学とも連携する。本年度の国土交通省の空き家対策モデル事業に採択され補助金を受ける。
 区内には空き家が約100件あり、重伝建内に69軒、このうち江戸末期~昭和初期の「伝統的建造物」(特定物件)が32軒。築年数の古い木造建築が多いため、手が入らなければ朽ちてしまい、防犯上の懸念もある。区の65歳以上が占める人口割合は52・8%、75歳以上が占める割合は36・8%(11月1日時点)で、今後も空き家は増えると考えられる。
 空き家管理は、空き家の発生予防の観点も含めた建物管理の有料サービスの仕組みを、区内に建物を所有する区民と、区外の人向けにそれぞれに構築した。「屋外中心」と屋内を含む管理に分け、1カ月1時間または2時間の作業の月額制(1500~3450円、別に初期費用5000円)を設定。10月初めに区民に通知し、今月中には区外に住む建物所有者にも通知を郵送する。区民では来年から利用を希望する人もいて、管理人も募集した。
 29日には、空き家対策セミナーや個別相談会も開く。昨年に区が実施した区民アンケートでは、空き家を「公に使ってもいい」との所有者の回答もあり、住民の憩いの場などとして活用の構想も練っていく考え。
 小嶋正則区長(69)は「身近な場所に相談窓口が一本化でき、区民に安心感を持ってもらえると思う。観光でも活用できるメリットを生かせたら」と話す。年度末には、空き家を利用する移住希望者向けに、奈良井での暮らし方を記した冊子を作成する予定だ。

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