ほうき作りを弟子に伝授 松本の吉澤文夫さんが技術継承へ
2025/11/23
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松本市神林の吉澤文夫さん(86)宅で、ほうき作りが行われている。ほうき職人だった吉澤さんを慕って有志が“弟子入り”し、材料のホウキモロコシの栽培から製作までの技術を学んでいる。吉澤さんは「技術を次代に伝えられるのはうれしい」と笑顔を見せている。
今季初回の製作日だった22日は、吉澤さんのほか3人がビニールハウスに集まり、専用の台にかけたひもでホウキモロコシを編み込んでほうきを作った。吉澤さんは手取り足取り教えず、3人はひもの編み込みや締めを見よう見まねで行い、作業の感覚をつかんでいた。
令和4年に市内でほうき作りに関する催しがあり、見学していた増田美保子さん(66)=波田=が吉澤さんの存在を知り「突撃で弟子にさせてと志願した」。30代まで市街地や野溝で職人として働き、その後もほそぼそと作っていた吉澤さんが希望を受け入れた。
以来、近くの筒井湧三さん(95)、粟野須美子さん(73)=波田=らが加わった。現在はホウキモロコシを5アールで栽培、夏場は種まき、間引き、草取り、収穫、脱穀などの作業をみんなで行い、冬場に製作している。
増田さんは頻繁に訪れて技術を学び、荒神ぼうきなど小型の物は手際よく作れるようになった。22日に作ったほうきを見た吉澤さんは「前よか(より)編むのがうんと上手になった」と褒めていた。吉澤さんを師匠と呼ぶ増田さんは「職人の技術は宝。気合を入れてしっかり教わりたい」と意気込む。
90の手習いとなった筒井さんは「人に見せても恥ずかしくない物を作りたい」。粟野さんは「増田さんのように短時間に作りたい」と話す。吉澤さんは「技術を伝えたいと思った。次は手ぼうきを教えたい」と、弟子たちの成長に期待している。




