噴火災害 復興支えた12年 木曽・原町長 26日に退任 3期務める 新庁舎整備にも尽力
木曽町の原久仁男町長(74)=新開=が26日、3期目の任期満了に伴い退任する。平成25(2013)年の就任以来、御嶽山噴火災害、豪雨災害、新型コロナウイルス禍への危機管理対応に加え、役場新庁舎、町文化交流センターといったハード整備に取り組んだ。12年の町政運営を終えて退くのを前に、心境を聞いた。
原氏は元町職員で、副町長などを歴任後、町長選に出馬、初当選した。1期目の平成26年9月、死者・行方不明者63人を出した御嶽山噴火災害が発生。犠牲者、行方不明者の家族の気持ちに寄り添う対応に努めながら、全国から駆け付けた報道陣の取材対応にも真摯に向き合った。
令和3年8月の豪雨、コロナ禍と危機管理能力が問われる状況が続いた。「私自身の能力ではなく、いろいろな人に助けていただき何とか乗り越えてこられた」と関係者、町職員への感謝を込める。
町民の理解を得ながら、平成29年に複合施設・町文化交流センター、令和3年に役場新庁舎が相次いで完成。同4年にはふるさと体験木曽おもちゃ美術館(新開)が開館した。「インフラができることで、皆さんが安心して住みやすくなり、それぞれの活動をできるようになれば」との思いを持って取り組んできた。
地場産木材の振興にも力を入れた。平成28年度には、新生児に木のおもちゃを贈る「ウッドスタート宣言」をした。その頃以降、木材産業についての見識を深めていった。
戦後期に植えられて伐採適期を迎えているカラマツなどの活用に「手をつけなければいけない」との決意から、地場産材活用のサイクル創出を図る「木の産業づくり事業」に本格着手。旧上田小学校(新開)を活用した高付加価値の合板製造・内装材加工拠点などの整備が進んでいる。「木の産業がこの町にしっかり根付いていってくれたら」と願う。
新たな町長には、漆器製造販売会社元社長・加藤真和氏(66)=福島八沢=が就く。「まちづくりに対する自分の思い、信念をもって取り組んでもらいたい」とエールを送る。




