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2025年

松本市立病院 経営厳しく 入院患者数減少、分娩廃止の影響 本年度は赤字転落か

2025/11/19
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 松本市立病院(波田)の経営が厳しくなっている。令和元年度から6年度まで6年連続で黒字決算だが、新型コロナウイルス感染症の病床確保料などが多かった3年度をピークに、黒字額は年々減っている。本年度は入院患者数の減少や産科診療の分娩(お産)廃止の影響で収益が悪化し、赤字に陥る可能性がある。全国の公立病院の8割以上が赤字経営という厳しい現状の中、市立病院は、他の医療機関との連携や経費節減などで経営強化を図るとしている。
 市立病院で17日に開かれた外部有識者らで構成する経営評価委員会で明らかになった。北野喜良病院事業管理者は「物価高騰や人件費の増加などで病院経営が厳しさを増す中、4月の医療事故を受け分娩廃止が決まり、経営強化プランの見直しも必要になっている」と述べた。
 昨年度決算は経常利益が5361万円だったが、5年度の3億7210万円から85・6%減と大幅に落ち込んだ。新型コロナが5類に移行したことに伴い、コロナ病床確保料が5年度の約3億8000万円から約1200万円と大幅に減少したことが要因だ。
 本年度上半期(4~9月)の新規入院患者数は1645人で、前年度同期より109人減り、病床稼働率も前年度の91・7%から本年度は89・2%に下がった。分娩件数は医療事故に伴い、7月から受け入れを中止したことが影響し、前年同期比20件減の54件だった。10月に決定した分娩機能廃止の影響について病院側は「本年度は数千万円の減収」との見通しを示す。
 総務省が9月に発表した全国の自治体病院の昨年度の経営状況は、全国公立病院678施設のうち8割以上が赤字経営だった。市病院局の渡辺敏明事務部長は「赤字回避は病院だけでは難しいのが現状。来年度の診療報酬改定をみながら、経営努力していく」としている。

厳しい経営状況となっている松本市立病院

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