世相映す瓦版、今年も完成 妻籠の藤原宗三さん制作
2025/11/19
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南木曽町の妻籠宿で毎年11月23日に開かれる時代行列「文化文政風俗絵巻之行列」で来場者に無料配布される瓦版が、今年も完成した。地元住民の藤原宗三さん(84)が手掛け58回目となり、地域の話題から国内外の出来事まで今年の世相を鋭い筆致と絵で切り取る。

今年は妻籠宿に関する話題が多く、中心的に取り上げた。妻籠宿一帯が最初に選定された、国の「重要伝統的建造物群保存地区」の制度創設から50年となり、7月に文化庁から住民団体・妻籠を愛する会などに感謝状が贈られた。一方、町並み保存活動の中心的存在だった小林俊彦さん、林茂さんの訃報が続いた。思いを次代に継承する必要があると、妻籠の中で若い芽を育てる絵を添えた。
社会情勢では、10月の自民党総裁選挙について、候補者を背比べするどんぐりとして描きチクリ。強権的な姿勢を強める米国のトランプ大統領や、侵攻を続けるロシア、イスラエルの各国トップの似顔絵などを描き、混迷する世界を憂う。
日々書きためたメモから話題を選び、約1カ月かけ10月中旬に書き上げた。ノーベル賞の生理学・医学賞や化学賞を日本の研究者が受賞したニュースなどが入り、加筆した。
藤原さんは「1年を振り返り、社会を厳しく見つめてもらうことにもつながれば」と話す。高齢のため制作の後継者を探しながら「60回の節目までは自分で頑張りたいと思っている」と語った。
妻籠を愛する会が2000部を発行した。行列当日に売り子役が来場者に配って回る。



