松本城天守の築造年代に市民ら興味津々 松本で専門家が最新調査結果を語る
2025/11/16
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松本市の松本城国宝天守の築造年代が、従来の公式見解より数年後の「文禄3(1594)年~慶長2(1597)年頃」とする最新の調査結果を市民に発表する催しが15日、市立博物館で開かれた。奈良文化財研究所名誉研究員の光谷拓実さん、名古屋工業大学名誉教授の麓和善さんが、科学的な調査手法や年代を特定した根拠などを説明し、市民約100人が聞き入った。
光谷さんは、柱の年輪から築造年代を算出する調査の方法を紹介し、天守に使われている柱が1596(文禄5・慶長元)年に伐採されたと説明した。麓さんは、1~6階の木材が同時期に伐採されており、短期間に建設されたと推定。月見櫓については、寛永3(1626)年に伐採されたツガが使われており、従来見解より早く戸田家が城主の時代に建設されたとした。
会場からは、木材を乾燥させる前に建設したことへの質問が出され、麓さんは、当時の職人は木の性質をよく理解し、加工しやすい伐採したての木を使っていたのではないかとの見解を示した。
訪日観光客を外国語で案内するボランティアグループ・アルプス善意通訳協会の中田和子会長は「伐採したての木で建てることについては、ふに落ちた」とした。月見櫓が、松平直政が城主の時に3代将軍・徳川家光を迎えるために増築したとされる従来見解と異なる点が出たことについては「なぜ戸田家が建てたのか疑問が残る。今後の調査に興味が湧く」と話していた。
催しは「国宝松本城を世界遺産に」推進実行委員会が、11月10日の「松本城の日」を記念して開いた。市は今回の結果やさまざまな調査を総合的に検討し、築造年代を絞る。




