旧中山道・塩尻宿脇本陣の蔵に貴重な資料 15、16日 宿場まつりで展示へ
2025/11/14
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江戸時代に、中山道塩尻宿脇本陣だった川上家住宅=塩尻市塩尻町=の蔵などから、数多くの古文書や調度品が見つかった。春に建物が取り壊されたのを契機に、地域史の調査や継承の活動をしている「悠々くらぶ町区」の代表世話人・平林袈裟雄さん(78)が所有者に保存への理解を求め、搬出を許された。平林さんと市教育委員会が保管している。
平林さんは、江戸時代後期の天保年間に発行された書籍『丹鶴百人一首宝庫』や、文久年間に購入したとみられる『絵本豊臣勲功記』などを保管している。『宝庫』には歌人の肖像や歌などが載っている。年代不詳だが木箱に入った百人一首の札や、昭和期の豪華版の写真集など近代の書籍もある。「中山道塩尻駅・川上喜十郎」の蔵書印があるものもある。
15日午後から16日にかけて行われる「宿場まつり」で、会場となる塩尻町の国重要文化財・小野家住宅で展示する。現物のほか、百人一首などはコピーしたものを大きなパネルに仕立て、全体の内容が分かるようにする。14日、小野家の小野良文さん(79)、香苗さん(70)夫妻らとともに準備した。
市教育委員会は、市誌編さんの際に作った川上家所有の文書目録に載っているものを中心に、相当数の文書を塩尻総合文化センター内の古文書室に移した。文化財課は「地域の歴史を知る貴重な資料の一つ。今後、機をとらえて調べたい」とする。
蔵からの搬出は3月に行われ、地元の区長や市議会議員、悠々くらぶのメンバーが作業に当たった。多数の漆器類などもあったという。「資料の散逸を防ぎたい。地域の歴史が忘れ去られてしまうのでは」と考え、所有者に協力を求めた平林さんは「ここが宿場町であり、脇本陣があった記憶の一部として資料を残し、伝えていきたい」と話している。



