松本の竹内尚代さん自伝 日本自費出版文化賞の「色川大吉賞」に
2025/11/14
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優れた自費出版作品を発掘する第28回日本自費出版文化賞の「色川大吉賞」に、松本市埋橋の竹内尚代さん(80)の自伝的著作『私のことはわたしが決める─松本移住の夢をかなえたがん患者、77歳』(社会評論社)が選ばれた。30年近いがん闘病や事実婚の選択、新天地松本への単身移住など、自らの意志で切り拓いた一人の女性の「自分史」が全国の舞台で評価された。
53歳で卵巣がんの告知を受け、手術や再発、転移や後遺症と闘ってきた竹内さん。「ジタバタしても仕方ない。『死ぬ』までは人生を楽しもう」の心意気で77歳を目前に都内から松本へ移住し「ジェンダーに押し込められることなく」歩んできた半生を著した。
同文化賞は日本グラフィックサービス工業会主催、NPO日本自費出版ネットワーク主管。各部門賞のほか、民衆史研究を提唱した歴史家で初代選考委員長の故・色川大吉氏の名を冠した賞が昨年創設された。第28回の応募総数は805点。『私のことは―』には選考委員の成田龍一・日本女子大名誉教授が推薦の言葉を寄せた。大賞は該当がなかった。
8日に都内で表彰式があり、ルポライターの鎌田慧・選考委員長から表彰状が手渡された。竹内さんは「世の中には素晴らしい自費出版がたくさんあることを知る機会になった。そんな宝の鉱脈から選ばれ、自分らしく歩んだ人生を理解してもらえたことが何よりうれしい」と喜んだ。




