塩尻・楢川診療所 認知症 オンラインで診療 実証開始 「対面」を補完
塩尻市は10日、市が運営する国民健康保険楢川診療所(木曽平沢)で、認知症に対応する「ものわすれ外来」でのオンライン診療の実証事業を始めた。診療業務を委託する松本市立病院(松本市波田)の医師と、遠隔地にある楢川診療所の外来患者をテレビ電話でつないで診察する先進的な取り組みで、対面診療を補完する役割を果たす。
初日は、認知症を患う地元の80代の男性が、診療所の看護師の補助で受診した。市立病院の名誉院長で脳神経外科医の中村雅彦さん(66)が、電子カルテに接続しながら診察し、認知機能の検査などを行った。画面越しながら表情もよく分かったという。男性は「緊張したが真正面に医師の先生の顔が見えて良かった。安心した」と話していたという。
楢川診療所では地域柄、高齢者が多いことを踏まえ、今年2月に月1回でものわすれ外来を開設し、中村医師が担当している。1人当たり30分程度の時間を要し、1回(半日)で診察できる最大人数が6人という課題があった。10月からは対面で診察可能な日数を月3回まで増やし、今回オンライン診療2回を追加して毎週月曜日の対応を可能とした。10月末時点のものわすれ外来の受診者は延べ45人(新規11人)だった。
認知症患者は3カ月に1回対面で、6週間に1回程度オンラインでそれぞれ受診する。
オンライン診療は医療者の業務効率化につながる。予約時間通りに診ることができ、スケジュール管理がしやすい。患者には遠隔地でも専門診療が受けられるのが利点だ。中村医師は「あくまでも対面診療を補完するもの。対面とオンラインを組み合わせ両立していく」と話した。市は当面試験運用を継続し、費用対効果などを検証する考え。本格導入する場合は来年度以降になるとみられ、市健康づくり課は「内科などにも広げられたら」とする。



