山岳ガイド協会やまたみ20周年 学校登山の応援宣言
2025/11/09
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松本市のNPO法人信州まつもと山岳ガイド協会やまたみは8日、同市大手3の市立博物館で設立20周年イベントを開いた。近年、県内で学校登山を実施している公立中学校が激減している状況を踏まえ、教育関係者らのトークセッションを通じて今後の学校登山の在り方を考えた。学校登山の伝統を次世代に継承するため、山岳ガイドが全面的に協力する「学校登山応援宣言」が発表された。
始めに県山岳総合センターの傘木靖所長が平成21(2009)年度は90%を超えていた学校登山の実施率が、本年度は26%に減少した現状を示した。学校登山を実施した松本市の公立中学校は20校中3校、安曇野市は7校中4校まで落ち込んでおり、新型コロナウイルス感染拡大以降に中止する学校が増えたという。
教職員の負担軽減や生徒の安全確保が中止の理由となる一方、実施した中学校の生徒や保護者からは登山が良い経験になったとの回答が9割を超えたアンケート結果が示された。
傘木さんがコーディネーターを務めたトークセッションでは、教職員や学校登山ボランティアら5人と、オブザーバーの松本市の曽根原好彦教育長と安曇野市の橋渡勝也教育長が意見を交わした。会場の参加者からは教育委員会の見解を問う声も上がり、学校登山を実施するか否かの判断が学校長に委ねられているという説明があった。
宣言には学校ごとに規定するガイド人数(有償)に加えて、最低1クラスに1人のガイドを無償で派遣することが盛り込まれた。代表理事の植松晃岳さん(72)は「教職員や生徒、保護者の不安を取り除き、安全性を確保したい」と話した。
元県警山岳遭難救助隊長の中嶋豊さんと、自然公園財団上高地野生動物対策専門員の香取草平さんによる講演会もあり、約100人が聴講した。



