近代和風建築・松門文庫 絵で魅力表現 画家・田口勝さん手掛ける 保存、継承への広告塔に
2025/11/08
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松本地方における蚕種製造業の発展や近代化の歴史を今に伝える、松本市浅間温泉2の近代和風建築「松門文庫」を、同市開智3の画家・田口勝さん(81)が絵に表した。松門文庫の保存・活用を目指す市民有志の会「松門文庫をひらく会」の趣旨に賛同し、筆を執った。8、9日に本郷公民館で開かれる本郷地区文化祭で初公開されるほか、建物を周知する広告塔として関係者が活用を進めていく。
浅間温泉で蚕種製造業を営んだ二木洵が、実父・窪田畔夫の書籍や書画を公開する場として大正8(1919)年に建てた2階建て木造建築が、アクリル画に描かれた。どっしりとした構えの中にも繊細な意匠が施されたたたずまいで、緑の植栽や青空に包まれる。松門文庫は、明治9(1876)年築の擬洋風建築・国宝旧開智学校校舎の影響が色濃い建物とも評されており、優れた左官技術による装飾も余すことなく描かれた。
田口さんは、ひらく会の建築士・米山文香さん(54)から依頼を受けて制作に着手。現地に足を運び、往時の写真も確認する中で、建物としての魅力を感じながら描いたという。「浅間温泉の歴史遺産として保存、継承することが次代の市民の財産になる」と話す。今後は絵はがきへの活用も検討される予定で、米山さんは「絵を通じてより多くの人に松門文庫を知ってもらえるように」と願っていた。
本郷文化祭ではひらく会の展示の一環で公開する。開場は午前9時から午後5時(9日は3時)まで。




