0000日(木)
2025年

小さな薬店 城下に開店 石倉さん夫妻開智通りに 気軽に相談 観光客にも

2025/10/29
後で読む

 松本市の松本城と旧開智学校校舎、二つの国宝をつなぐ通称・開智通り脇に、わずか14平方メートルの小さな薬店「薬屋開智」(松本市開智1)が今月開店した。大型ドラッグストアの出店が近年各地で進む中、ともに薬剤師の石倉慎太郎さん(34)、芽衣さん(32)夫妻が「効率化重視ではない、誰もが気軽に相談できる町の薬屋に」と脱サラ、開業した。信州ゆかりの生薬製剤や健康食品も積極的に取りそろえ、住民と観光客双方の健康に寄り添っていく。
 空き家を活用した複合店舗「城町文庫鷹匠店」の一角に開店した。開業するための構造基準をぎりぎり満たした「日本一小さな薬屋さん」の一つだが、店内には120種類ほどの商品がずらり。風邪薬や鎮痛剤などの市販薬から百草丸、ミヤリサン、養命酒といった信州ゆかりの薬や薬用酒、無添加の県産健康食品までさまざまだ。調剤機能は持たないが、夫妻が一人一人の相談に丁寧に応じながら、薬を提案してくれる。
 2人はこれまで大手ドラッグストアに勤務し、関東圏を中心に転勤を繰り返してきた。「薬剤師とは本来一人一人に向き合う仕事。効率化を求める働き方に寂しさを感じていた」と慎太郎さんは話す。そんな中、4年前に松本市に転勤し、街や自然、交通の利便性や人の温かさに魅了されたという。「この地に根差しながら、思い描いた薬剤師の仕事をしたい」と開業を決意した。
 店舗の周辺は近年観光客の往来が増える一方、空き家の増加や高齢化などの課題も抱える。2人は「信頼の上に成り立つ身近な健康相談所として尽力しつつ、地域の盛り上げにも寄与していきたい」と話している。
 午前10時~午後8時(土日祝は午後6時)で不定休。

松本城近くに「薬屋開智」を開いた石倉さん夫妻

おでかけ

一覧を見る