人手不足解消へ介護現場のDX化推進 松本市がモデル事業など計画
松本市は人材不足などが指摘されている介護現場の業務改善を進めようと、デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)化の推進に力を入れている。介護保険事業所を対象にしたDXセミナーを初開催するほか、介護保険サービスで使われるケアプランを電子的にやり取りできる「ケアプランデータ連携システム」を導入するためのモデル事業を展開し、介護現場の負担軽減につなげる取り組みを行う。
松本市内には現在、介護保険事業所が約790事業所、65歳以上の介護保険に認定されている人が1万2666人いる。認定者数は介護保険がスタートした平成12(2000)年度の4574人に比べ3倍近くに増えた。市高齢福祉課は「認定者は増加するが、事業所で働く人が不足しているため、事業所を新たに開設するのは困難になっている」と認識する。
市は介護現場のデジタル化が進めば若い人材も入りやすいと考え、DXセミナーを11月7日午後1時半から市勤労者福祉センターで開催する。介護現場のDX化に取り組む人を講師に迎え、業務改善の具体事例や生成AI(人工知能)を活用した書類の自動作成などを知ることができる。セミナー後はDXツールの販売などをするメーカー10社の機器の展示を見ることができる。
「ケアプランデータ連携システム」は厚生労働省と国民健康保険中央会が開発したシステムで、これまで紙の書類でやりとりしていたケアプランを、電子データとしてインターネット上で関係者同士が共有できる。パソコンで入力しインターネットを介してやり取りできるため、記入やケアプランの郵送、手渡しの手間が省け、介護施設職員の大幅な負担軽減が期待される。
システムは令和5年度から本格稼働しているが、導入する事業所は少ない。市のモデル事業は民間事業者に委託してシステム導入の推進やサポートを行う内容で、11月中にモデル事業所を募る。市高齢福祉課の髙木寿郎課長は「介護現場のデジタル化は他の分野に比べて遅れている。5年、10年先の介護現場の不安をなくすために、導入をぜひ検討してほしい」と呼び掛けている。
