日本教育界の父・成城学園創立者 松本出身の澤柳政太郎、地元で顕彰
松本市安原地区出身の教育家で、幼稚園から大学・大学院まで擁する成城学園(東京)を創立した澤柳政太郎(1865~1927)を顕彰する機運が高まっている。澤柳は大正自由教育運動の中で中心的役割を果たし、文部官僚として小学校の無償化や6年間の義務教育化など、現代につながる教育制度を確立。「日本教育界の父」と称される澤柳の生誕160周年に合わせ、功績を振り返る記念事業が今秋、松本市で計画されている。
澤柳の生誕地は、松本市北深志3の天白神社のすぐ隣と伝えられている。信州の風土に育まれた経験が後の「自然に親しむ教育」の実践につながった。松本市入山辺の里山には「成城学園ふるさとの森」があり、学園に通う子供たちに信州の自然に親しむ機会を提供してきた。
「個性尊重の教育」の実践者として知られ、東北帝国大学総長時代には奨学金を導入し、帝国大学初の女子学生の入学を認めた。松本地域の成城学園の出身者でつくる松本成城会の宮坂知足会長(71)は「澤柳先生の志を受け継ぎ、後世に伝えたい。信州の風土が教育に対する志の原点になったことを改めて多くの人に知ってもらいたい」と話す。
松本成城会、長野成城会が主催する記念事業は11月9日午後1時から松本市中央1のMウイングで開く。午後1時~2時15分に澤柳の功績を振り返る座談会を企画し、聖心女子大学名誉教授の北村和夫さんら有識者5人が対談する。午後2時半~3時半は成城学園出身の航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんの特別講演「地方観光の課題『インバウンドの今後』」を開き、松本空港の活用にも触れる。11月5~24日には市立博物館(大手3)で澤柳の功績を紹介するパネル展も開く。
9日の記念事業の定員は300人で事前の予約が必要。問い合わせは松本成城会の宮坂会長(電話090・1549・5931)か電子メール(ampmcm59314@gmail.com)へ。