近代歌人たちの恋文紹介 塩尻短歌館企画展 県内外の直筆資料24点
2025/10/16
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塩尻市広丘原新田の塩尻短歌館の企画展「いつの世も恋はひとを突き動かす―歌人たちの詩心あふれるラブレター」が開かれている。広丘ゆかりの近代歌人たちの恋愛模様がうかがい知れる、直筆の手紙などの資料24点を展示している。
原新田出身の太田水穂(1876~1955)が、四賀光子(1885~1976)に送った6年間の恋文は、晩年に光子が軸装し、幅約20センチ、長さ約30メートルの巻物が6巻分にも及ぶ。明治38(1905)年4月の手紙では婚約が決まった喜びを爆発させ、光子の手紙を「待たれつる、こがれつる、こひしき君が福音なりき」と表現した。11月30日には、この巻物を広げて短歌館指導員が解説する予定だ。
教師だった水穂が松本高等女学校(現・松本蟻ケ崎高)の教え子を結婚相手として紹介した窪田空穂や吉江孤雁のほか、水穂が出会う機会を作った若山牧水・喜志子夫妻が家出という「破壊的な手段」(喜志子)で所帯を持ったことが分かる手紙もある。短歌館の藤森円指導員は「ラブレターがあったからこそ、人がつながり歌壇が盛り上がり、短歌のふるさとができた」とみる。
展示資料は神奈川県鎌倉市の潮音社、静岡県沼津市の若山牧水記念館、松本市の窪田空穂記念館に借りた。12月26日までの午前9時~午後4時半(月曜、祝日の翌日休館)。入館料300円。問い合わせは同館(電話0263・53・7171)へ。