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2025年

松本県ケ丘高・前村さん、山形の山口元女さんに満州の経験聞く

2025/10/14
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 松本県ケ丘高校(松本市)の探究科2年生・前村陽太郎さん(17)が12日、戦中の国策で旧満州(現在の中国東北部)に渡った山口元女さん(98)=山形村下竹田=から当時の話を聞き、映像に記録した。「ドキュメンタリーで伝える満蒙開拓団―映像で探る平和学習の新たな可能性」をテーマに活動しており、約1時間をかけて聞き取った。

  山形村小坂の喫茶店「まるます喫茶」を借り、前村さんがスマートフォンで動画撮影しながら、対面する山口さんの目を見て、満州行きを決めたきっかけや、現地での生活について、ゆっくりとした口調で質問した。
 山口さんは昭和19(1944)年春から、満州の「長野県報国農場」で7カ月にわたって農作業などに従事した。電気がなく夜間はランプ生活だったことや、生水を飲んだ人は下痢をしていたことなどを挙げ、「(渡満時よりも)昔の生活に戻った感じだった」と語った。世界で絶えない戦争についても触れ「何とか停戦してほしい。平和を願うのみ」と話していた。
 前村さんは高校入学当初から平和学習を探究テーマにしようと考え、長野県から最も多く送り出した満蒙開拓団を取り上げることにした。開拓団の手記を朗読している俳優の菅谷瑞恵さん=名古屋市=と知り合い、菅谷さんから山口さんを紹介され、7月に山口さんと交流を始めた。下伊那郡阿智村の満蒙開拓平和記念館にも足を運び、過酷を極めた満蒙開拓の全体像も学んだ。
 山口さんは「やっと(当時のことを)口に出せる時代になった。長生きしたおかげでこういう機会があり、うれしい」と笑顔を浮かべていた。前村さんは「(映像作品に)まとめる難しさを感じるが、思いを後世に伝えていくことが大事だと思った」と話し、制作に意欲を見せていた。

山口さん(左)の話を聞く前村さん