石井柏亭の足跡回顧へ 松本市美術館の特別展が11日に開幕
2025/10/11
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松本市美術館で11日に開幕する特別展「戦後80年 石井柏亭―えがくよろこび」の関係者向け内覧会が10日に行われた。中央画壇で活躍し、戦後は疎開をきっかけに移り住んだ松本を拠点に信州美術の発展に大きな足跡を残した石井柏亭(1882~1958)の大規模回顧展で、参加者は学芸員の説明に耳を傾けながら見て回った。
8歳の最初期から最晩年までの代表作を年代順に展示。従軍画家として描いた爆撃機や軍艦の絵も並ぶほか、出版に携わった雑誌、教育者として編さんした図画の教科書など幅広い仕事ぶりも紹介している。
室内を描いた作品の中には実際に飾られていた自作の絵画を忠実に表したものがあり、画中画と並べた展示が目を引く。松本ゆかりの作品を集めたコーナーには、写実を重んじた風景画に現在の写真を添える試みもある。
特別展は美術館主催、市民タイムスなど共催で112月7日まで。詳細な作品の記録簿など資料も合わせて約100点がそろう。小川稔館長は、疎開してきた芸術家と松本の文化人との交流や柏亭の功績に触れ「今、私たちが美術館で鑑賞する楽しみの出発点にも柏亭がいた」と話していた。
