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2025年

町会運営 松本市が支援強化 持続可能な自治組織へ成功事例紹介・共有

2025/10/01
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 松本市は本年度、自治組織の根幹である「町会」の支援強化に乗り出した。加入率が年々低下している上に、高齢化・人口減少の進展で役員の負担感増大、なり手がいないといった課題が横たわる。配り物のデジタル化など効率化を進め、現役世代も役割や責任を担える仕組みづくりを模索する。町会活動には「不介入」としていた従来のスタンスを「伴走支援」に改める転換期で、持続可能な町会づくりに向けてスタートを切った。
 市内35地区には485の町会がある。市は9月中旬を締め切りに、町会長向けに町会の現状を聞くアンケートを実施した。「一番の課題と考えられるものは何か」「町会運営の改善や負担軽減のために、実際に取り組んだことはあるか」など12問を用意した。アンケートを分析し、課題解決の方向性を整理、具体策を考える。
 市は本年度、地域づくりセンターなどに配置される地域支援担当職員を4人から7人に増員した。アンケートを基に、まずは取り組んでいる地域の成功事例や取り組みの状況を聞き取ってメニュー化を目指し、悩みを抱える町会に活用の参考にしてもらえるようにする。
 年度内を目標に、改革に意欲的な町会をモデルに選び、支援していく考え。ひと口に町会と言っても、加入世帯数や役員の選出方法、事業内容など、培ってきた自治のスタイルはさまざまだ。市地域づくり支援課の上條智久課長は「組織を変えることには労力がいる。悩んでいる町会に成功事例をフィードバックしたい」と話す。
 島内の島高松町会は、役員選出に苦労したことをきっかけに、令和6年度に「未来づくり検討会」を発足、役員選出のあり方などを検討し、町会では安否確認避難行動計画の策定などをした。住民が町会を身近に感じるようになり、今年の夏祭りは一昨年の倍の600人が訪れたという。町会長の髙山拓郎さん(75)は「現段階で、市が何を支援するのか明確ではない。町会活動は光るところがたくさんあり、地域支援担当職員がそれを収集し、他に提案してほしい」と話している。