松本山雅が塩尻市「地域クラブ」の運営母体に 中学部活の地域移行の受け皿に
2025/09/30
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松本山雅FCの運営会社(小澤修一社長)は、中学校部活動の地域移行の受け皿となる取り組みを本格的に展開する。地域に根差したサッカークラブの強みを生かした新規事業となる。ホームタウン・塩尻市の業務を受託し、運動系・文化系を問わず全ての「地域クラブ」について一括で運営母体を担う。
部活動を地域で支える形態への転換期に際し、生徒の選択肢の確保を出発点とした。1年ほどかけて準備を進めてきた。
展開する「塩尻モデル」では指導人材の確保やマッチング、生徒募集、安全の担保などを担う=図参照。アプリやデバイスの活用で効率化を図り、指導者の共有を含めた広域サポートが可能な点も売りになる。運営資金は自治体からの受託金や月謝で賄い、企業協賛による支援も見据える。運動系・文化系とも部活を選ぶ層が主な対象で、既存団体と手を携えて取り組む。近く本格試行に入る。
クラブメインスポンサー・セイコーエプソン、Jリーグタイトルパートナー・明治安田生命の松本支社などとの企業連携をはじめ、多様な関係団体をつないで仕組みを構築した。画期的な試みで、Jリーグの関心も高いという。
諏訪郡下諏訪町で既に実証実験に着手。他市町村にも広げたい意向を持つ。松本山雅にとってはスポーツビジネスとして新たな収益構造にもなり得る。
社会課題の解決とクラブが模索するマネタイズ(収益化)が両立する点も意義深い。事業を進める松本山雅の神田文之取締役は「フットボール事業をやってきたことが価値となってできるのはJクラブとしてチャンス」と強調。「地域にコミットするクラブとして責任を持って担う」としている。
