松本駅前の中華料理店「若大将」が後継者なく一時閉店 市内企業が事業承継へ
2025/09/27
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松本市の松本駅前で45年間にわたり地元客や観光客らに親しまれてきた中華料理店・若大将(中央1)が、後継者がいないことから市内の企業へ事業譲渡することになり、30日で店を閉める。新しい企業による営業は12月ごろ始まる予定。店主の藤井國廣さん(82)が中華鍋を振るって調理するのは最後となるため、大勢の常連客が訪れ、藤井さんにねぎらいや感謝の言葉を掛けている。
22日に店の前に「45年間ありがとう」と記した閉店を知らせる看板を出すと、「店をやめるなんて知らなかった」「最後に会いたくて来た」と、地元だけでなく遠くは香川県からも来店している。
藤井さんは、妻のミチ子さん(77)の父・長さん(故人)から同市南浅間の中華料理店を引き継ぎ、駅前に出店した。信州みそを使ったみそラーメンが看板メニューで、市内の飲食店で山賊焼きを名物にする取り組みが始まった際、山賊焼きが載ったラーメンを考え、人気メニューに加わった。藤井さんの温かく飾らない人柄も多くのファンを引きつけた。
藤井さんは譲渡について「『若大将』という名前を使ってくれることになり、ありがたい。難しいかもしれないが味も受け継いでくれたら」と願う。店の前で休憩していると道行く人から次々と声を掛けられ、「長い間、ありがとうの一言しかない」と穏やかに語る。
28日は休み。営業は午前11時~午後2時半、午後5時~9時半。
