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2025年

古文書解読 市民コツコツ 松本市の初心者有志が勉強会 判読の成果を地域に紹介

2025/09/27
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 古文書は「初心者」という松本市民有志が「勝手に古文書勉強会」を立ち上げて郷土の古文書を読み進めている。ともすれば歴史に埋没しそうな明治以前の手紙や日記、記録をひもとくことで、往時の松本のまちの姿や人々の営みに触れようと、令和4年秋にゆるやかに始動した。現在は旧和田町村(現松本市和田)の名主・窪田家の『癸丑日記』を読み進めており、25日には成果を紹介する特別講座も初開催。判読した内容を地元の人々と共有した。
 勉強会は建築家の米山文香さん(54)=里山辺、元公務員の征矢ひろみさん=征矢野2、元英語教諭の林信孝さん(71)=浅間温泉1=を中心メンバーに、市内で月1回開いている。古文書といえばくずし字や変体仮名の判読に一苦労するが「三人寄れば文殊の知恵」とそれぞれの知識や感性を生かしながら取り組み、これまでに明治期の『松本警察署建築一件土木掛』や『立石家文書』などを読んだ。
 現在取り組む『癸丑日記』は嘉永6(1853)年、和田出身の自由民権運動家・窪田畔夫、または父親がつづった日記で、畔夫ゆかりの松門文庫(浅間温泉2)で見つかった。
 昨秋より読み進める中、判読した内容を地元でも知ってもらおうと特別講座を企画。和田の窪田空穂生家を会場に、約170年前の正月の出来事や村々の会合の様子など日記に書かれた内容を林さんが紹介すると、参加した約30人から「足元の歴史を初めて知った。興味深い」などの声が上がっていた。
 米山さんは古文書勉強会を通して「歴史を身近に感じ、過去が今につながっている実感が湧く。新たな発見もあり、さらなる期待も膨らむ」と話す。郷土の文化財を広く知ってもらう機会にもつなげたいとし、特別講座の定期開催も視野に入れていた。
 勉強会の問い合わせは米山さん(℡080・1227・3927)か、松門文庫のフェイスブックへ。

『癸丑日記』を紹介した特別講座。右奧から林さん、征矢さん、米山さん