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2025年

松本市社協、厳しい経営状況 組織スリム化など推進

2025/09/26
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 松本市社会福祉協議会が厳しい経営を迫られている。人件費が増える一方、運営するデイサービスの利用が減るなどし、昨年度まで5年間の単年度決算の収支は累積で約1億4000万円の赤字だった。社協は本年度から独自の給与体系に改めるなど、経営の安定に向けて改革を進める。地域福祉の充実など非収益事業を展開しており、市に助成の増額も求めている。

 市社協によると、決算の収支差額は昨年度は約5600万円の黒字だったが、令和3~5年度の累積は約2億円の赤字だった。新型コロナウイルス禍で減少した、利用料金制のデイサービスの利用者が回復していないことなどが理由で、コロナ禍以降、入所施設の利用が増えてデイサービス利用が減っているとみている。
 一方で、昨年度の人件費は2年度に比べて約1億4000万円増の約19億4600万円に上った。市に準じていた給与体系や最低賃金の上昇が影響した。介護保険財政調整積立基金を取り崩して運営費に充当。6年度末の基金残高は、2年度比で約5800万円減の約3億4600万円となった。
 厳しい経営状況を受け、市社協は昨年度、14年度までの経営安定化計画を策定した。本年度から法人の実績に応じた独自の給与体系に改めたほか、組織のスリム化で地区センターを廃止した。本年度の常勤職員は昨年度比11人減の339人となった。
 経営改革に合わせ、市の助成の増額も求める。市社協は平成28(2016)年度から、地域福祉や総務に関する人件費分として年1億5000万円を上限に市の補助を受けている。地区生活支援員の配置など市の委託事業も多く、委託料の見直しも要望している。市社協の村山修常務理事(事務局長)は、経営改革のほか非収益の事業を展開していることに触れ「助成を検討してほしい」と話す。
 市社協の財政状況については市議会9月定例会の一般質問でも取り上げられた。社協の求めに対し、市の加藤琢江健康福祉部長は「経営改善の結果を見極めた上で協議したい」と話している。